美しさとは何か

人が美しさを感じるものとは一体何であろうか？
人間には、視覚・聴覚・嗅覚・味覚など美しさを感じる感覚器官がいくつもある。
しかし他の動物はこれらを生存にとっての必要な器官として使うだけである。
ではなぜ人類だけが美しさを感じこれを基準として様々な行動をとりうるのであろうか？

まず考えられるのが、生存にとって非常に不利なものは、感覚器にその情報が入り、除くことができるという一面である。
例えば有毒なものや腐敗したものなどの臭いなどは、嗅覚で不快感を感じ、排除できる。
また、赤ん坊の泣き声は人にとって不快な周波数で、これを警告音として聴覚が認識して、子育てに利用される。
このように考えると、本能との関連がつけられなくも無いが、それとは全く無縁の美しさの基準もある。

女性の瞳に対する美の基準も、大きな瞳は聡明さを感じるとか、二重瞼の方のがその存在を強調するため、美しさを感じやすいとか、いろいろ言われ、事実そのような整形が行われているのを見ると、ある一定の価値観があるように思われる。
しかし、日本では数百年前には、一重で細い目が愛されていた時代があり、今のような価値観は明治維新以降であるとの研究がある。

それは社会が女性に望んでいることの変遷を表しているのであって、実は美の基準は時代や場所によって大きく変わる。

30年前に日本のコマーシャルフィルムの撮影隊が、モンゴル共和国のある村を訪れた時の実話である。
日本のスタッフが村一番の美人を撮影に来たといったら、村人はビア樽見たいな大きな女を連れてきた。
モンゴルのある村では、栄養の関係で大きく太った女が美しいとされ、スタッフが選んだ日本人好みのスレンダーな女はその村では見向きもされないそうだ。

わたくしももちろん時代の様々を刷り込まれているので、残念ながらわたくしが美しいと感じるものは、すべてわたくし自身の価値基準とは言えないだろう。
しかしながら、音楽の趣味や、絵画の好き嫌い、映画の楽しみ方など、他者とは大きく異なることを感じる場面が多いので、変わっているのであろう。

ただひとこと、人が美しく輝いているのは、何かを秘めている時であると思う。
輝かしい未来を感じる時も、好きな人といる時でも、楽しい一時を過ごす時でも、何かを内側に持っている人は美しさを放っている。
ただ、それを美しさと感じない人もいるであろう。
人の美しさを感じる基準ほど、当てにならなくまたいい加減なようで、また奥深いものはない。